日本では選挙の度に安全保障の問題が話題になりますが、その争点の一つとなるのが、国防費。安倍さんを中心に、「GDPの2%まで国防費を増やして防衛力を強化しよう」という案が出ているのですが、実はこの案を今、岸田首相が潰そうとしています。
「安倍派潰し」とも言える人事が行われ、ある意味、自民党内でクーデターに近いことが
起きているのです。例えば、今度の内閣改造では、安倍さんの実の弟である岸防衛大臣を更迭して、新たな防衛大臣には、財務省出身者といった「岸田派」を任命しようとする動きがあります。
私は、今度の選挙でどの党に入れたらいいかという話はしません。しかし、現岸田政権を早く
権力の座から引きずり降ろさないと、日本の国防体制が危うくなってしまいます。もちろん、極左の政党には勝ってほしくないと思いますが、保守の補完勢力となる野党も存在します。
そういうところが若干勝ってもらって、大きくはブレないようにする。そして自民党が過半数割れのようなことになれば、岸田退陣のシナリオというのも可能になるわけです。そうすれば、増税路線が阻止できますし、「国防費2%案」を潰そうとする彼らの動きを阻止することも
できると思います。
■国防費2%潰しの黒幕…
岸田政権のキーパーソンの一人に、木原誠二さんという官房副長官がいます。財務省の出身者で、財政規律派・増税派という財務省の標準的な考え方の人です。この人が「国防費2%潰し」の中心的な役割を果たしている人間の一人じゃないかと思います。
木原誠二さんは、東大法学部を出て財務省に就職して、今は東京20区の衆議院の出身です。当選回数5回、学歴的にも何の遜色もない典型的な財務省出身のエリートということになります。
そして官房副長官というのはなかなか大事な役職です。
安倍さんもかつて、小泉内閣で官房副長官を長いことやっていました。官房長官が目立ちますが、その下にいて、これから若手中堅で伸びるような人が就くポジションです。
そんな木原さんは、どういうお考えの方かというと、例えば憲法に関しては、基本的に9条の改正は反対で、専守防衛は堅持すべきだ、という立場です。
そして敵基地攻撃能力の保有については賛成している一方、日本の核武装については、「将来に渡っても検討すべきでない」と主張されています。典型的な自民党内のリベラル派なのです。
■日本よりイギリスを重視…?
そして彼はどうやらイギリスとの関係が深いんですね。私は彼を、「英国守旧派」と岸田政権を繋ぐパイプ役をやっている人ではないかと見ています。「英国守旧派」というのは、イギリスで唯一残っているビッグビジネス:タックスヘイブンを何とか守っていこうとする派閥です。
今で言えばジョンソン政権に直接結びついている勢力です。木原さんの経歴をもう少し見ると、東大に行って大蔵省に入った後、1995〜97年にイギリスに留学し、その後、1999〜2001年まで2年間、イギリス大蔵省に出向しています。
そして2002年にはその経験から、『英国大蔵省から見た日本』という本を文春新書から出版しています。おそらくこの辺りでイギリスとのコネがついたのでしょう。
タックスヘイブンの利権を守ろうとするジョンソン政権とのパイプ役をやられているのではないかと思います。こういう方が政権の中枢に入っているところを見ると、日本のためを思うと要注意人物ですね。こういった方が大活躍されるような国だと、日本は良い方向にいかないということです。